統計検定2級の難易度
2021/08/27
カテゴリ:統計検定
統計検定2級のPBT方式(紙)の試験は2021年6月をもって終わりました。これ以降はCBT(コンピュータ)方式の試験となりますので、統計検定2級の解説は2021年6月分が最後となります。そこで、これまで行われてきたPBT方式の統計検定2級の難易度や活用方法についてまとめてみたいと思います。
※統計検定2級に対する難易度は個人の得意/不得意によってそれぞれ違うと思いますので、あくまでも統計webに掲載している解説を作るにあたって過去問を解いてみたときの感想が元になっているという点をご理解いただけますと幸いです。
目次
難易度の項目ではそれぞれの問題の解説に飛ぶことができます。
統計検定2級の難易度
■2012年11月
難易度:易
グラフや表の読み取り、統計検定、確率計算、いずれの問題においても基礎がしっかり身についていればすんなり解ける問題がほとんど。統計数理に関する問題は殆どないので、計算が苦手な人でも解きやすいです。問13と問14はやや悩ましい問題ですが、良問でもあります。
■2013年11月
難易度:易
2012年11月の問題と同様、基礎力を問うオーソドックスな問題です。めんどくさい計算問題は殆どないので2012年11月の問題よりも少し易しいです。問16はこれ以降の試験でたびたび登場する、比率の信頼区間の幅からサンプルサイズを求める問題の第1号です。
■2014年6月
難易度:易
解説:一部のみ
解きやすい問題が多く計算量も少ないため、非常に解きやすい問題です。
■2014年11月
難易度:易
解説:一部のみ
2014年6月と同様、解きやすい問題が多く計算量も少ないため、非常に解きやすいです。2014年6月と問題の構成や傾向が非常に似ています。問6のポアソン分布に関する問題は、統計検定2級全体を通しても珍しいような気がします。
■2015年6月
難易度:やや易
いずれもオーソドックスな問題です。うどん県に関する問題(箱ひげ図の読み取り)にはじまり、一元配置分散分析の計算で終わります。分散分析に関する問題は2015年以降もそこまで出題頻度は高くないですが、実際の場面ではよく使われる統計手法なので、一度しっかりと計算方法について学んでおくと良いと思います。問11の問題は二項分布を使わずに解く方法までたどり着けるかどうかが鍵です。
■2015年11月
難易度:やや易
新しい傾向の問題が増えつつも、難易度のバランスが程よく保たれています。例えば、ローレンツ曲線とジニ係数、コレログラム、そして回帰分析の結果をRの出力から読み取る問題など、これまで出たことがなかった問題が多いです。近年はよく出題される一致推定量、不偏推定量に関する問題もあります。
■2016年6月
難易度:やや難
1問1問が少しずつ複雑or解くのがめんどくさい問題で、2015年よりもはっきりと難易度が上がっています。問12の検出力を問う問題は、検定の理論がきちんと分かっていないとスムーズには解けない難問です。
■2016年11月
難易度:難
2016年6月と同様に難しく、そして計算量が多いです。相関係数に関する問8、積分計算が必要な問10、不偏推定量に関する問11はゆっくりと計算していると時間が足りなくなります。問11のような不偏推定量に関する統計数理計算の問題は2016年以降よく出るようになりました。
■2017年6月
難易度:並
2016年に比べて難易度が少し下がりました。時系列に関する問題は2017年以降よく出るようになりました。問9が初見では少し難しそうに見えますが、実際に解くと見た目ほど難しくはありません。また、問10はカイ二乗検定を使って解くのがポイントです。
■2017年11月
難易度:並
価格指数に関する問題が初登場しました。それ以外は2017年6月と似たような構成です。問9は様々な確率分布がきちんと理解できているかを確認するための良い問題です。
■2018年6月
難易度:やや難
2017年より難しくなりました。解答方針を立てるまでに少し時間がかかる問題が増えてきたような印象です。問10は少しトリッキーですが、標準正規分布が使えそうとひらめくことが大事です。問13は第一種/第二種の過誤や検定力に関する問題ですが、離散型確率分布が使われているので(サイコロなんかを想像して)少しだけ考えやすいと思います。
■2018年11月
難易度:やや難
問11に尖度・歪度に関する問題が初めて登場しました。3次モーメント、4次モーメントという言葉が問題文に出てきて「!」となった人もいるかもしれません。準1位級・1級を目指すのであればこのあたりをしっかりと理解しておくことが重要です。
■2019年6月
難易度:難
2018年と同じか少し上の難易度です。問19は見慣れない問題で少しとっつきにくいかもしれません。実際の値を入れたときにどのような値が得られるかを考えると良いです。問17の重回帰分析の問題ではダミー変数が初登場しました。ダミー変数は実際の解析でもよく使われます。
■2019年11月
難易度:やや難
時系列データにおけるにおける変動と対応のあるt検定が初登場しました。全体的に計算量が多いですが、難しい問題は少ないので解きやすいです。
■2021年6月
難易度:かなり難
歴代の統計検定2級の中で一番難しいです。細かなグラフの読み取り問題や、これまで出たことのなかった計算を問う問題(価格指数、チェビシェフの不等式、分散分析における信頼区間など)が多く含まれています。基礎統計学をガッチリと身につけたかどうかをこれでもかと確認する問題ばかりです。この2021年6月の問題がすべて理解できるようになった暁には、基礎統計学がしっかり身についたと胸を張って良いと思います。
過去問のレベル別活用法
統計検定2級は年によって難易度や出題傾向にかなり差があるので、各フェーズに適した過去問を下記のように分類しました。年順に解いていくと途中で難しさのあまり心が折れたりするので、自分のフェーズに合った過去問を選んで解くようにしましょう。
- 統計基礎が身についたか確認したい:2014年6月/11月 ⇒ 2013年11月 ⇒ 2012年11月 ⇒ 2015年6/11月
- 統計検定2級の実践練習をしたい:2017年6/11月 ⇒ 2016年6/11月 ⇒ 2018年6/11月 ⇒ 2019年6/11月
- 統計検定準1級/1級を目指したい:2018年6/11月 ⇒ 2019年6/11月 ⇒ 2021年6月
過去問活用4Steps
統計検定2級に合格するためには、過去問を何度か繰り返すのが最も効果的です。その際、下記のようなステップを意識しながら解いていくと理解が深まります。高得点(SやA)を狙う場合には、いかに効率よく解くか(Step4)のところがとても重要です。
- Step1:過去問を何回か繰り返しながら、図表の見方、統計用語の意味、公式の使い方などを理解する
- Step2:正解の選択肢はなぜ正しいのかを説明できるようにする
- Step3:正解以外の選択肢は何がだめなのかを説明できるようにする
- Step4:制限時間を意識して、効率の良い解法を考えながら過去問を解く