統計検定2級CBT公式問題集の解説(確率分布の分野)
2023/08/12
カテゴリ:統計検定
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- 問1:確率分布の定数の決定に関する問題
- 問2:正規確率の計算に関する問題
- 問3:確率変数の関数の期待値に関する問題
- 問4:2項分布の正規近似に関する問題
- 問5:2項確率の比に関する問題
- 問6:分布形と歪度・尖度に関する問題
- 問7:X-Yの確率計算に関する問題
- 問8:線形な変数変換、共分散、相関係数に関する問題
問1
確率密度関数は、連続型確率変数 に対して確率を得るための関数を で表したもので、次の式が成り立ちます。
また、 が から までの値を取るとき、その確率は次のように計算できます。
問題文の確率密度関数に対して1つ目の式を用いると、
となります。この式を整理すると
となります。これを解くと、 となります。
問2
まず、-1と4を標準化します。ある確率変数 が平均 、分散 の正規分布に従う時、 から平均 を引いて で割った値を とおくと、この は「平均が0、分散が1の標準正規分布」に従います。標準化を行うことにより、単位や平均値などが異なるデータ同士の大小を「標準正規分布表」を使って比較できるようになります。
−1を標準化すると
となります。4を標準化すると
となります。これらの結果から、
となります。
であることから、標準正規分布表より となる確率は0.16であり、 となります。
また、標準正規分布表より となる確率は0.25です。
したがって、 となります。
データの標準化の詳細については「14-3. 標準化したデータの使い方」をご覧ください。
問3
確率密度関数 から期待値 を計算する場合には、次の式を使います。
問題文の値を用いて計算すると
となります。
確率密度関数の期待値の詳細については「12-3. 確率変数の期待値」をご覧ください。
問4
成功確率が である試行を 回行うときに成功する回数 が従う確率分布である二項分布では、 が十分に大きい場合には、次の式から得られる が標準正規分布に従います。 は標本比率を表します。
問題文の値を使うと
となります。問題文より、
であることから、
となります。この値を使うと、
標準正規分布表より となる確率は0.0228であることから、求める確率は となります。
二項分布の正規近似の詳細については「21-1. 母比率の信頼区間の求め方1」をご覧ください。
問5
回のベルヌーイ試行を行うときに成功する回数 がちょうど 回となる確率、すなわち となる確率は次の式から計算することができます。
一方、 となる確率は次の式から計算することができます。
したがって、
問題文より、、 であることから
となります。
二項分布の詳細については「13-1. 二項分布」をご覧ください。
問6
I:× 歪度は、「右裾が長い」もしくは「右に歪んだ」もしくは「左に偏った」分布のときには正の値を、「左裾が長い」もしくは「左に歪んだ」もしくは「右に偏った」分布のときには負の値をとります。
II:× 尖度は、正規分布より尖った分布(データが平均付近に集中し、分布の裾が重い)のときには正の値を、正規分布より扁平な分布(データが平均付近から散らばり、分布の裾が軽い)のときには負の値をとります。
III:× t分布は自由度が大きくなるほど正規分布に近づきます。正規分布の場合には尖度0になることから、t分布の自由度が大きくなるほど尖度の絶対値は小さくなります。
歪度と尖度の詳細については「3-5. 歪度と尖度」をご覧ください。
問7
ある年の6月における電気料金 と前年の6月における電気料金 との差を考えます。 および はそれぞれ独立で同一の正規分布で近似されます。したがって、
問題文より、
となります。求める確率は です。標準化を行うと
標準正規分布表を見ると、 となる確率は0.129です。したがって、 となる確率は0.129となります。
2変数の期待値と分散の詳細については「15-6. 2変数の期待値と分散」をご覧ください。
問8
2つの確率変数 と の共分散 と相関係数 は次の式から計算できます。
問題文の値を用いて計算すると
となります。次に、 と について期待値、分散を計算します。
したがってこれらの値を用いると、共分散 、相関係数 は
となります。
2変数の期待値と分散の詳細については「15-6. 2変数の期待値と分散」をご覧ください。