映画をヒットさせるには公開時期が大事!?
2017/07/04
カテゴリ:エンタメ
7月に入り、「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「忍びの国」といった夏休み映画の公開が始まりました。「君の名は。」に代表されるように、夏に公開される映画は大ヒットするイメージがあります。そこで、2010年以降に公開された映画の中で興行収入が10億円を超えた映画を集計してみました。なお、ここではここでは公開規模は考慮せず、10億円を超えた作品を「ヒット」と見なしています。
このグラフを見ると、邦画と洋画では傾向が異なっていることが分かります。邦画では12、3、4月にヒット作品が多いのに対して、洋画では7、8月にヒット作品が多いようです。これは、12月の「年末・お正月」、3月と4月の「春休み・GW」、7月と8月の「夏休み」に合わせて大作映画を公開するケースが多いためだと考えられます。
にも関わらず、休みの期間が長い7、8月で邦画のヒット本数が伸び悩んでいるように見えます。これは、夏休みに公開される映画の数が多く、そのために他の映画と競合してしまうためではないかと考えられます。そんな中でも、口コミなどで映画を見る人がじわじわと増えていくと「君の名は。」(2016年8月公開)のようにロングランを経て、大ヒット作品となります。
さて、このような時系列データに対しては「時系列分析」というものを行うことができます。ここでは月ごとの傾向を見たいので、「期別平均法」を用いた解析行ってみます。生データはこんな感じです。
エクセル統計の「時系列分析・曲線の当てはめ」から「期別平均法」を選択して解析を行った結果がこちらです。このグラフは各「期」(この場合公開月)の値から平均値を算出したグラフです。赤太線が平均の折れ線になっています。これだけを見ても、何となく年間を通したトレンドが分かります。
この平均の折れ線をより見やすくしたものが次のグラフです。これは、赤太線の平均値を「1」にしたもので、「期別指数」と呼ばれます。これを見ると、邦画と洋画のトレンドのちがいがはっきりと分かります。
お客さんがたくさん来るけどライバルも多い時期に公開するか、お客さんは少なめだけどライバルも少なめの時期に公開するか等、映画公開時期にも戦略が必要です。映画を見るだけでなく、映画の裏側にあるデータも見てみると面白いことが分かります。今後もたくさんのヒット作品が生まれるといいですね。