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ANOVAとGLM

2017/08/14

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ANOVAは分散分析 analysis of variance の略称です。分散分析は統計学の中で最も使用頻度が高い手法だと思います。斯く言う私も生まれて初めて使った統計手法が二元配置分散分析でした。心理学の実験データを解析するためです。当時は Excel のような表計算ソフトも無かったので( 1980年代前半のことです)、電卓を使って計算した覚えがあります。今なら、Excel の分析ツールの中に 3 つの分散分析が入っているので、データさえ入力すれば簡単に結果を求められます。

 

フィッシャーが実験計画の組み方と実験結果の分析の仕方を「実験計画法」としてまとめ上げ、発表したのは、今から 80 年ほど前です。分散分析はこの「実験計画法」の中の分析方法の部分にあたります。分散分析をきちんと理解するには、分散分析と対になっている実験計画の組み方も同時に学ばなければいけません。

Excelに入っている分散分析は最もベーシックな 3 種類だけですが、フィッシャー以降も研究が続いて、今では実に様々な分散分析があります。分散分析とよく似た名前で、共分散分析 ANCOVA や、多変量分散分析 MANOVA というのもありますが、これらも、広義では分散分析の中に入ります。分散分析には色々な使い分けや、分散分析の結果をより仔細に検討する下位検定 post-hoc test もあり、すべてを網羅しようとすると本 1 冊に収まりきらない量です。

この複雑化してしまった分散分析を解くには、現在では GLM という分析方法を使うのが主流になっています。GLM とは General Linear Model の略称で、日本語に直すと一般線形モデルといいます。GLM は簡単に言ってしまうと、説明変数が量的変数と質的変数(カテゴリカルデータ)のどちらにも対応した重回帰分析です。SPSS などの統計ソフトで分散分析のメニューを探しても一元配置分散分析しか見つからないということがありますが、その場合は GLM を探してみてください。


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