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無作為化の原則―フィッシャーの3原則(2)

2017/08/15

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※コラム「統計備忘録」の記事一覧はこちら


前回の続きです。第2の原則、無作為化について書きます。

 

無作為化 randomization
反復が多くなれば検出力は高まりますが、実験回数が増えて、実験期間が長引くか、期間を縮めるために複数の実験室や複数の人で実験をするということになります。そうすると、実験したときの気温や湿度の違い、実験者の癖など、実験結果を歪めるかもしれない予測不能な系統誤差を生じる可能性があります。

これらの予測不可能な系統誤差を確率誤差に取り込んでしまう方法があります。その方法が無作為化です。

フィッシャーの実験計画法の本には、紅茶を飲んで、その紅茶が紅茶を先に注いだのかミルクを先に注いだのかを当てられる、婦人の話が出てきます。本では、婦人が味の違いを分かっているのかを確かめるには、どう実験計画を組むかという話へ繋がっていきます。

さて、1杯ずつ試すだけなら偶々ということもありますから、まず、反復が必要です。かといって、何杯も飲むとなると、最後のほうでは、冷めてしまって味が変わるかもしれませんし、婦人の味覚が鈍っているかもしれません。ここまで思い至った人なら、できるだけ2種類の紅茶が試される条件を平等にするよう交互に飲ませることを思いつくかもしれません。しかし、この方法にもリスクがあります。婦人も交互に答えていただけで、偶然、順序が一致したというケースです。

紅茶を飲む順序によって生じる問題から逃れるにはどうしたらよいか。簡単な解決策があります。飲む順序を出鱈目にすることです。紅茶のカップに番号をつけ、同じ番号の札を用意し、札をよくシャッフルして飲む順番を決めればよいのです。順序をランダムにすることで順序の影響を確率的な誤差に転化できます。

無作為化は順序に限りません。例えば、新薬の治療効果を試す場合、被験者を2グループに分けて、一方のグループには新薬を投与し、もう一方のグループには何の効果も無い偽の薬(プラセボと言います)を投与し、2グループの変化を比較します。このとき、被験者がどちらのグループになるか、当然、無作為に決めるのですが、それだけでなく、医師もどちらの薬を投与しているか分からないようにします。これを二重盲検法 double blind test と言います。医師に教えないのは、被験者にどちらの薬を飲んでいるか覚らせないということの他に、「薬を飲ませているから効くはずだ」、「偽薬だから効くはずがない」といった医師の思い込みを避ける目的があります。

さて、サルツブルグの「統計学を拓いた異才たち」を読むと、紅茶の違いが分かる婦人は実在の人物で、実際に試してみたそうです。結果がどうなったかも、この本に書かれています。



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