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統計学の導入書

2017/08/14

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※コラム「統計備忘録」の記事一覧はこちら



統計学を始めるとき読む本について、私なりに選択のポイントを幾つか考えてみました。

1.「まえがき」を読んで自分向きだと思う

「まえがき」を読むと、本の内容や対象としている読者だけでなく、著者のキャリアやセンスもうかがうことができます。「まえがき」を、つまらない、分かりにくいと感じるようなら、買っても読み通すことはないでしょう。はじめての専門書を買う場合、外せないポイントです。

2.索引に「標準誤差」と「中心極限定理」が載っている

私は、「標準誤差」と「中心極限定理」が索引に載っているかどうかをチェックします。この2つは、推定や検定の原理を理解する上で役に立つキーワードです。あれば記述されている箇所もチェックします。記述の前後に、正規分布が幾つか重なったようなチャートがあるかも見ておきましょう。

3.英語表記が併記されている

統計用語はほとんどが訳語です。分野による方言や著者(や訳者)の好みで、同じ事に色々な名前が付けられています。英語表記は日本語ほどバリエーションがありませんから、他の本を読んだり、ネットで調べたりするときに知っていると便利です。

4.ノンパラメトリック検定や多変量解析の解説がある

統計学の初等講座で使われるような本を買うと、基礎理論ばかりで、検定についてほとんど解説が無いものもあります。本の内容を理解できたとしても、統計ソフトのメニューのどこをクリックしたらよいか分かりません。多変量解析については「一般線形モデル(GLM)」があるかどうかがポイントです。現在、高機能な統計ソフトでは、分散分析に一般線形モデルを使うのが主流です。概要だけでも押さえておきましょう。

5.改訂版である

奥付を調べて、初版か改訂版かを調べます。統計学は日々変化していますから、初版のまま10年を過ぎた本よりも、改訂版を選びます。翻訳ものであれば日本語の版ではなく原著の版をチェックします。

以上の5つのチェックポイントをクリアした本として、私が紹介したいのは、メディカル・サイエンス・インターナショナル社の「論文が読める!早わかり統計学」です。出版社から分かるとおり医学研究者向けの本ですが、医学研究は実験と調査の両方の要素を含んでいるため、扱われる統計手法は多岐に渡り、事例も分かりやすく、何よりも読み物として楽しめます。一度、手にとってみてください。


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