重み付きカッパ係数―順序尺度の場合のカッパ係数
2017/08/15
カテゴリ:コラム「統計備忘録」
タグ:統計備忘録
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カッパ係数は名義尺度か順序尺度かで計算方法が異なります。前回説明したのは名義尺度のカッパ係数(simple kappa coefficient)です。順序尺度に用いるカッパ係数のことを重み付きカッパ係数(weighted kappa coefficient)と呼びます。
例えば、2人の医師AとBが同じ 100人の患者さんについて、疾患の重症度を 1点から 5点で評価するような場合を考えてみます。ある患者さんについてAが 2点でBが 3点と評価するのと、Aが 1点でBが 5点と評価するのでは、前者の方が評価は似通っていると言えます。完全に評価が一致している場合を 1、最も評価が隔たっている場合を 0とするような重みをつけ、完全に評価が一致しないケースも考慮して一致度を計算したのが、重み付けカッパ係数です。
重みの計算方法は1次の重みと2次の重みの2種類があります。1次の重み(linear weights)の計算式*1は次の通り。5段階評価なら Cc は 5になります。2人の評価が 2点と 3点なら重みは 1 - |2-3| / (5-1) = 0.75 になります。
2次の重み(quadratic weights)の計算式*2は次の通りです。2人の評価が 2点と 3点なら重みは 1 - (2-3)2 / (5-1)2 = 0.9375 になります。
単に重み付きカッパ係数といった場合、後者の2次の重み付けをしていることが多いようです。なお、エクセル統計によりカッパ係数を求めると 3種のカッパ係数を無条件に同時に算出します。尺度水準に合わせて使い分けください。
2008.10.31
*1 Cicchetti and Alisonによる(1971)
*2 Fleiss and Cohenによる(1973)