層別分析とは
2017/08/19
カテゴリ:コラム「統計備忘録」
タグ:統計備忘録
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飲酒の量と肺がんの発症率は、今のところ直接関係が無いとされています。しかしながら、お酒をよく飲む人と、あまり飲まない人に分けて肺がんの発症率を調べると、お酒をよく飲む人の方が発症率が高くなる傾向があります。これは、お酒をよく飲む人に喫煙者が多いからと考えられます。そこで、調査対象者を、非喫煙グループと喫煙グループに分け、それぞれのグループで飲酒量の違いによる肺がんの発症率を調べてみると、非喫煙グループでは飲酒量が異なっても肺がんの発症率に違いは出なくなります。喫煙の有無が交絡因子として作用していたために、飲酒と肺がんに関係があるように見えていたのです。
層別分析とは、収集したデータをグループ分けして、グループごとに分析することです。この例のように、交絡因子で層別分析をすると、交絡因子の影響をある程度除くことができます。
以前紹介したシンプソンのパラドックスの例では、性別が交絡因子になっていました。そのため、3重クロスで性別による層別分析をしないと、処置の効果が見えてきません。
さて、飲酒と肺がんに話を戻しますが、喫煙者では飲酒量が多いほど肺がんの発症率が高いという研究結果もあります。お酒に含まれているエタノールは体内で分解されてアセトアルデヒドになりますが、アセトアルデヒドに分解する酵素がたばこの煙に含まれる発がん物質の働きを同時に活性化させているのではないかと考えられるそうです。*1
*1国立がんセンター がん予防・検診研究センター予防研究部のホームページより
飲酒と肺がんの発生率との関係について