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割合、率、比

2017/08/26

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※コラム「統計備忘録」の記事一覧はこちら


前回は「割合と比率」について何が違うのか調べてみたが、私の結論としては和語と漢語の違いということに落ち着いた。これ以外にも「率」とか「比」なんかも、使い分けに不安を覚えることがある。そこで、疫学の本を見てみることにした。

日本疫学会が監修した『はじめて学ぶやさしい疫学 改訂第2版』を読むと、「割合」、「率」、「比」を次のように説明している。

割合 proportion
 特定部分の全体に占める大きさ
 例)肥満者の割合=肥満者数/対象者全体の人数
  (対象者全体の人数=非肥満者数+肥満者数)

率 rate
 割合とほぼ同じ意味ではあるが、単位時間当たりの変化を表す場合が多い。
 例)死産率=死産数/出産数
  (出産数=出生数+死産数) 出生数、死産数は1年間の発生数

比 ratio
 二つの量の比較に用いる(分子と分母が異なる)
 例)死産比=死産数/出生数、男女比=男/女

一見すると明快のように見えるが、この後の「疫学で用いられる指標」の解説を幾つか読むとまた混乱してしまうのではないかと思う。例えば「有病率( prevalence )」であるが、これは「割合」だ。有病率の定義は次の通り。

『ロスマンの疫学―科学的思考への誘い』の中では、「・・・<有病割合>( prevalence proportion )、 ないし、しばしば単に<有病率>(prevalence)といわれるものは・・・」となっていて、初期に日本語に翻訳されたときの慣習がそのままになっているような感じだ。

有病率と並んでよく使われる疫学用語では罹患率( morbidity、ないしは、morbidity late )があるが、こちらは「率」の定義に合致している。

したがって、1万人を1年間調査した場合の罹患率は1万人年が分母になる。罹患率ではなく発生率( incidence rate )という言葉を用いることもあるが、英語辞書を見ると morbidity は病気の発生に限定され、incidence は犯罪の発生など病気以外にも使えるようだ。

「比」については概念的には分かり易いと思うが、「リスク比」と「オッズ比」の違いなどは疫学をやっていなくとも知っていて損はないので、またの機会に取り上げようと思う。



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