横浜市立大学データサイエンス学部岩崎先生インタビュー
2018/10/16
カテゴリ:お知らせ
横浜市立大学データサイエンス学部の岩崎先生に、今年度が初年度となるデータサイエンス学部の取り組みや実態、今後についてインタビューをさせていただきました。
───データサイエンス学部の初年度の前期を終えて、いかがでしたか。
「(写真を壁から取り外しながら)これがオリエンテーションのときに学生と先生とで撮った写真です。いつもこの写真を見て、自分のモチベーションにしています。65名が入学して、みんな真面目でやる気満々です。文理両方の学生がいるほか、性別では、女子学生が24人、男子学生が41人になっています。」
───文理両方の学生がいるという点では、入学試験の制度はどのようになっていますか。
「センター試験では、英語、国語、数学に加えて、理科か社会かを選択できます。2次試験では、数IIIを必要としない選択制問題になっています、もちろん数IIIを勉強していても良いですが。本人の自己申告ですが、文系が18人、理系が47人という内訳になっています。」
───学生は大学に入ってから数学をどのように学びますか。
「私は線形代数学を教えています。今の学生は、文系でも理系でも大学に入って初めて線形代数学を学びます。微積分だと数IIIまでやっていた学生とそうでない学生とで少し差がありますが、線形代数に関しては文系と理系との差はないです。あと、統計学を学ぶ上で数IIIのすべての要素は要らないので、統計学で必要な部分だけ学べるように授業の仕方を工夫しています。」
───プログラミングの授業はありますか。
「1年次からプログラミングの授業があります。2年次になるとプログラミングの演習が始まります。演習のためのデータが必要なので、企業連携により実際のデータを提供していただく予定です。プログラミングの言語としては、PythonとRです。あとは、今後、研究室や分野によってはsasやSPSSも使うことになると思います。」
「データサイエンスの専門家はほとんどいない。」
───カリキュラムで大切にされていることは何ですか。
「大学にいる間はとにかく基礎を固めておくことが大切だと考えています。世の中ではビッグデータが騒がれていますが、今の流行が(今の学生が卒業する)4年後にどのようになっているかわかりませんから、基礎的な統計学をまず学んだ上で、ある程度流行も掴みながら幅を広げて統計学や機械学習を学んでいけるようにカリキュラムを作っています。データサイエンスは新しい分野なので、いつも言っていることですが、現時点ではデータサイエンスの専門家はほとんどいないと思っています。その点では、自分たちも試行錯誤しながら進めています。まずやってみて、4年経ったらカリキュラムを見直す予定です。」
───大学院設置の予定はありますか。
「2020年の設置を予定しています。最初は社会人や他大学からの入学を見込んでいますし、現在の学部生も大学院に進んでもらえたらと思っています。」
───今、困っていることはありますか。
「学生が興味を持てるデータが少ないです。また、いろんな分野で統計を使用しているという事例も少ないです。統計学の基礎を学んだあとに実際のデータをどう扱うかを体験することが大事だと思っています。実際のデータには、欠測があったり、あまり意味のないデータもあったりとか、一筋縄ではいかないことを知ることが大切ですね。」
「(エクセル統計は)すごく便利です。」
───最後に、長年エクセル統計をお使いいただいていますが、使い勝手はいかがですか。
「すごく便利です。みなさんExcelを使うので、アドインというのは使い勝手が良いです。Excelだけではできない機能が搭載されていて、多変量解析のところはよく使います。重回帰分析、主成分分析、因子分析、クラスター分析をよく使います。あと、Excelでも箱ひげ図を作れるようになりましたが、今でもエクセル統計で箱ひげ図を作ることがあります。」
───ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
岩崎先生 プロフィール
岩崎 学(いわさき まなぶ)
横浜市立大学国際総合科学群・教授/データサイエンス推進センター・センター長
1952年、静岡県浜松市生まれ。1977年、東京理科大学大学院理学研究科数学専攻修士課程修了。その後、茨城大学工学部情報工学科、防衛大学校数学物理学教室、成蹊大学工学部経営工学科、成蹊大学理工学部情報科学科を経て、2017年より現職。2018年より応用統計学会会長を務める。理学博士。