順序ロジスティック回帰分析 : Ordinal Logistic Regression Analysis
概要
多変量データにおいて、目的変数が3分類以上の順序変数である場合に用いられる回帰分析手法です。目的変数のカテゴリーがn分類、説明変数がp個である場合の順序ロジスティック回帰式はkを用いて以下の式で表されます。
n分類のうち、k番目までのカテゴリーを1つの群、残りのk+1番目以降のカテゴリーを別の群とし、πkはk番目までのカテゴリーとなる確率を表します。このようにして2分割したデータを用いてロジスティック回帰分析を行います。
目的変数のカテゴリーがn分類のとき、2分割する分け方はn-1パターンあるので、合計でn-1個の式ができます。これらの式は定数項の部分だけが異なるので、差を用いて各分類における確率を求めることができます。b0kは定数項を表し、2分割した式ごとに異なります。b1, b2, …, bpは偏回帰係数を表し、2分割したどの式においても共通です。x1, x2, …, xpは説明変数を表します。
分析例ファイルのダウンロード
順序ロジスティック回帰分析を使用する際のデータの形式やダイアログの指定方法、出力結果などを以下のExcelファイルからご確認いただけます。ダウンロードしてご参照ください。この分析例ファイルは、製品をご購入された場合にも自動でインストールされます。
なお、エクセル統計の無料体験版では、分析例ファイルのデータを実際に分析してみることができます。
処理対象データ
データベース形式
データサイズ範囲 | 処理対象データ | |||||
---|---|---|---|---|---|---|
行数 | 列数 | 判別群 | 数値 | 文字列 | 空白 | |
目的変数 | 3~60,000行 | 1列 | 2~10群 | ○ | ○ | 欠 |
説明変数 | 3~60,000行 | 1~100列 | - | ○ | 欠 | 欠 |
度数※1 | 3~60,000行 | 1列 | - | ○ | 欠 | 欠 |
※:○…処理可、×…処理不可、欠…欠損値として除く
※1:度数の和(データ件数の合計)が60,000 以下であること
出力内容
度数の要約 | 有効ケース、無効ケース、全体の「サンプルサイズ」と「割合」が出力されます。度数を設定した場合にのみ出力されます。 |
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ケースの要約 | 有効ケース、目的変数のみ不明、説明変数のみ不明、ともに不明、全体の「サンプルサイズ」と「割合」 |
目的変数の要約 | 目的変数の各群の「サンプルサイズ」と「割合」 |
基本統計量 | 説明変数と目的変数の各変数の「サンプルサイズ」、「平均」、「不偏分散」、「標準偏差」、「最小値」、「最大値」 |
相関行列 | 目的変数の全体と各群における説明変数間の相関係数の行列 |
線形結合している変数 | 説明変数間で線形結合している変数のリスト |
回帰式の精度(決定係数) | 「Cox-Snell」、「Nagelkerke」、「McFadden」の決定係数の値 |
回帰式の有意性 | 説明変数がない場合とある場合の「-2対数尤度」と「AIC」、及び「尤度比検定」により回帰式全体について有意性を検定した結果 |
偏回帰係数の推定 | 各説明変数と各カテゴリーの定数項の「偏回帰係数」、「標準誤差」、「偏回帰係数の95%信頼区間」、「オッズ比」、「オッズ比の95%信頼区間」、「偏回帰係数の有意性検定」の結果 |
分類表 | 表側を目的変数の「観測値」、表頭を目的変数の「予測値」としたクロス集計表。各目的変数についての「判別的中率」も出力されます。 |
予測値※ | 目的変数の「観測値」、及び回帰式から算出された「予測値」と「予測確率」 |
※:ダイアログで[予測値を出力する]にチェックを入れた場合に出力します。
参考文献
- 内田 治, "SPSSによるロジスティック回帰分析", Ohmsha, 2011.
- 丹後 俊郎, 高木 晴良, 山岡 和枝, "ロジスティック回帰分析―SASを利用した統計解析の実際", 朝倉書店, 1996.
- SAS/STAT(R) 9.22 User's Guide.