- Step1. 基礎編
- 15. いろいろな確率分布3
15-1. 指数分布
■指数分布
指数分布は連続型確率分布の一つで、機械が故障してから次に故障するまでの期間や、災害が起こってから次に起こるまでの期間のように、次に何かが起こるまでの期間が従う分布です。ある期間に平均して(ラムダ)回起こる現象が、次に起こるまでの期間
が指数分布に従うとき、
となる確率密度関数
は次の式で表されます。
は指数分布のパラメータであり、必ず正の値をとります。

確率変数が指数分布に従っている時、「
」と書きます。また、
の期待値
と分散
は次のようになります。


例えば、1時間に平均10人が来客するお店に、ある客が来てから次の客が来るまでの時間が5分となる確率密度を求めてみます。まず「時間」と「分」の単位を揃えるために5分を「1/12時間」とします。また、この例では=10です。この
=1/12と
=10を確率密度関数
に代入すると、次のようになります。

※この計算は、関数電卓もしくはExcelなどを使って行ってください。
■指数分布のグラフ
同様の計算を行い、次の客が来るまでの時間が0分から60分となる場合の確率密度を表にまとめました。
次に客が来るまでの時間![]() |
そのときの確率密度 | |
分 | 時間 | |
0 | 0.000 | 10.0 |
5 | 1/12 | 4.35 |
10 | 1/6 | 1.89 |
15 | 1/4 | 0.821 |
20 | 1/3 | 0.357 |
30 | 1/2 | 0.067 |
45 | 3/4 | 0.006 |
60 | 1 | 0.000 |
この表からグラフを描くと次のようになります。横軸はを、縦軸は確率密度を表します。

次に、さまざまな指数分布の形を見てみます。前述の例は=10の指数分布を表したものでしたが、
の値を0.1、0.5、1、2、5にした場合の指数分布は次のようになります。

■指数分布の使い方
累積分布関数は確率密度関数
を用いて算出できることは、12-1章で既に学びました。

ただし、は指数分布に従う確率変数
の確率密度関数を表します。

ある期間に平均して回起こる現象が次に起こるまでの期間を
としたとき、「期間
が
以下となる確率」、すなわち、「
までの累積分布関数
」は次のようになります。

例題:
1時間に平均10人が来るお店に、ある客が来てから次の客が来るまでの時間が5分以内である確率はいくらでしょうか。

まずは単位を揃えます。5分=1/12時間なので、「次の客が来るまでの時間=1/12時間以下となる確率」を求めます。問題文から
=10です。
に
と
の値を代入して計算すると約57%であることが分かります。

【コラム】指数分布とポアソン分布
指数分布は、13-3章で学んだポアソン分布と非常に似ていますが、ポアソン分布は「ある期間に平均して回起こる現象が、ある期間にちょうど
回起きる確率の分布」のことです。

■おすすめ書籍
演習に力を入れたい方はこちらをどうぞ。統計検定®2級対策本としてよく名前があがる本の1つです。
15. いろいろな確率分布3
事前に読むと理解が深まる- 学習内容が難しかった方に -
- 9. 確率と期待値
9-6. 期待値
- 6. 分散と標準偏差
6-1. 分散
- 12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散
12-1. 累積分布関数とは
- 12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散
12-3. 確率変数の期待値
- 12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散
12-5. 確率変数の分散
- 13. いろいろな確率分布1
13-3. ポアソン分布