一対比較 : Paired Comparison
概要
複数のサンプルを比較する場合、これらに順位をつけるのが一番わかりやすい評価方法です。しかし、食べ物の美味しさやデザインの良さなど順位をつけることが難しい場合があります。このような場合、任意の2サンプルのみを取り出して1対1で比較し、すべての比較結果を統合して評価を行うという方法があります。これを一対比較法といいます。
一対比較法にはサンプル内の順位のみを付ける方法と、順位に加えてその差の程度も算出する方法の2つがあります。順位のみを付ける方法にはサーストンの一対比較法やブラッドレイの一対比較法が含まれます。一方、順位と差の程度を算出する方法にはシェッフェの原法、芳賀の変法、浦の変法、中屋の変法が含まれます。各手法の特徴は以下のとおりです。
シェッフェの原法 | 1 人の評価者が、サンプルの組み合わせ1 組のみを1 回だけ評価する。ただし、比較する順序を考慮する。 |
---|---|
芳賀の変法 | 1 人の評価者が、サンプルの組み合わせ1 組のみを往復判断を許す方法で評価する。ただし、比較する順序は考慮しない。 |
浦の変法 | 1 人の評価者が、サンプルのすべての組み合わせに対して評価を行う。ただし、比較する順序を考慮する。 |
中屋の変法 | 1 人の評価者が、サンプルのすべての組み合わせに対して往復判断を許す方法で評価する。ただし、比較する順序は考慮しない。 |
これら4 手法でのサンプルの順位や差は、平均嗜好度から作成された尺度図によって確認することができます。なお、シェッフェの原法と芳賀の変法を使用する場合、評価に応じた評点を設定する必要があります。例えば3 段階評価であれば「1 点、0 点、-1 点」、5 段 階評価であれば「2 点、1 点、0 点、-1 点、-2 点」などです。
分析例ファイルのダウンロード
一対比較を使用する際のデータの形式やダイアログの指定方法、出力結果などを以下のExcelファイルからご確認いただけます。ダウンロードしてご参照ください。この分析例ファイルは、製品をご購入された場合にも自動でインストールされます。
なお、エクセル統計の無料体験版では、分析例ファイルのデータを実際に分析してみることができます。
処理対象データ
一対比較(順位)
データサイズ範囲 | 処理対象データ | |||
---|---|---|---|---|
行数 | 列数 | 数値 | 文字列 | 空白 |
3~100行 | 2~100列 | ○ | 欠 | 欠 |
一対比較(差)
データサイズ範囲 | 処理対象データ | |||
---|---|---|---|---|
行数 | 列数 | 数値 | 文字列 | 空白 |
3~100行 | 2~100列 | ○ | 欠 | 欠 |
※:○…処理可、×…処理不可、欠…欠損値として除く
出力内容
一対比較(順位)
サーストン法 確率行列 | データの度数を相対頻度に換算したもの |
---|---|
サーストン法 正規確率変数 | 相対頻度から正規確率を算出したもの |
サーストン法 間隔尺度 | サーストン法に基づく間隔尺度と並び替えられた変数名 |
ブラッドレイ法 | ブラッドレイ法に基づく間隔尺度と並び替えられた変数名 |
一対比較(差)
分散分析表 | 一対比較の各手法(シェッフェの原法、芳賀の変法、浦の変法、中屋の変法)にあわせた分散分析表が出力されます。 |
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平均嗜好度 | 各サンプルの嗜好を同一の次元で値として表したもの |
平均嗜好度の差 | サンプルのすべての組み合わせにおける平均嗜好度の差を算出したもの |
【グラフ】尺度図 | サンプルの平均嗜好度を数直線上に表したものです。図中の矢印はヤードスティックYによる推定幅を表します。 |
グラフ用データ | 尺度図作成用のデータ |
推定幅 | 尺度図上の推定幅作成用のデータ |