- Step1. 基礎編
- 24. 平均値の検定
24-5. 対応のある2標本t検定
例題:
血圧を下げる薬のテストを行います。被験者5人に対して薬の投与前と投与後の血圧を測定したところ、次の表のような結果が得られました。この結果から、薬の投与によって血圧は下がったと言えるでしょうか。
被検者No. | 投与前の血圧 | 投与後の血圧 |
---|---|---|
1 | 180 | 150 |
2 | 130 | 135 |
3 | 165 | 145 |
4 | 155 | 150 |
5 | 140 | 140 |
対応がある場合の2標本のt検定では2群の差が0かどうかについての検定を行います。この例題では、投薬前後での血圧の差が0かどうかを検定します。したがって、まず薬の投与前後での血圧の差とその平均値を算出します。
被検者No. | 投与前の血圧 | 投与後の血圧 | 差(投与前-投与後) |
---|---|---|---|
1 | 180 | 150 | 30 |
2 | 130 | 135 | -5 |
3 | 165 | 145 | 20 |
4 | 155 | 150 | 5 |
5 | 140 | 140 | 0 |
平均 | 154 | 144 | 10 |
- 仮説を立てる
- 有意水準を設定する
- 適切な検定統計量を決める
- 棄却ルールを決める
- 検定統計量を元に結論を出す
帰無仮説は「投薬前後の血圧は等しい=投薬によって血圧は下がらなかった」とします。したがって、対立仮説は「投薬によって血圧に差があった=投薬によって血圧は下がった」となります。
=0.05とします。
この実験では母分散が分からないので、不偏分散を用いるt統計量を使います。統計量tは次の式から求められます。は投薬による血圧の差の平均、は差の母平均、はサンプルサイズを表します。
この検定で使用する分布は自由度「5-1=4」の「t分布」です。この例題では血圧が下がったかどうかのみを考えればよいので、片側検定を行います。統計数値表からの値を読み取ると「2.132」となっています。
投薬前後での血圧の差が0かどうかを検定するため、=0となります。また、薬の投与前後での血圧の差の不偏分散は次のように計算します。
この値を統計量tの式に代入すると次のようになります。
次の図は自由度4のt分布を表したものです。t=1.53は図の矢印の部分に該当します。矢印は棄却域に入っていないことから、「有意水準5%において、帰無仮説は棄却されない」という結果になります。つまり、「投薬によって血圧が下がったとは言えない」と結論づけられます。
24. 平均値の検定
事前に読むと理解が深まる- 学習内容が難しかった方に -
- 20. 母平均の区間推定(母分散未知)
20-1. 標本とt分布
- 20. 母平均の区間推定(母分散未知)
20-2. t分布表
- 23. 検定の前に
23-5. 棄却域と採択域
- 23. 検定の前に
23-6. 両側検定と片側検定
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対応のあるデータの検定(1)
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対応のあるデータの検定(2)
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平均値の差の検定