ブルンナー=ムンツェル検定 : Brunner-Munzel Test
概要
ブルンナー=ムンツェル検定はノンパラメトリック検定の1つで、対応のない2標本の母集団分布の同一性を検定するための手法です。マン=ホイットニーのU検定と異なり、2標本の等分散性を仮定せずに使うことができます。
母集団からサンプリングした2標本のデータについて、2標本をあわせて値の小さいデータより順位をつけます。同順位の場合は該当する順位の平均値を割り当てます。例えば、1位のデータが1個、2位のデータが2個ある場合、2位のデータには2位と3位の平均から2.5位を割り当てます。次にそれぞれの標本内での順位を各データに割り当てます。全データの順位と各標本内での順位、およびデータのサンプルサイズから、統計量Wを求めます。両側検定のみ行い、P値が有意水準以下である場合に対立仮説「2標本の間に差がある」が支持されます。
分析例ファイルのダウンロード
ブルンナー=ムンツェル検定を使用する際のデータの形式やダイアログの指定方法、出力結果などを以下のExcelファイルからご確認いただけます。ダウンロードしてご参照ください。この分析例ファイルは、製品をご購入された場合にも自動でインストールされます。
なお、エクセル統計の無料体験版では、分析例ファイルのデータを実際に分析してみることができます。
処理対象データ
「表形式」と「データベース形式」のデータを計算することができます。
表形式
- 先頭行を変数のラベルとして扱います。
- 2行目以降を各変数の観測値として計算に用います。
- 列ごとに欠損値を除いて計算を行います。
先頭行のラベルを除いたセル範囲について、行数と列数の上限、扱えるデータの種類は次の通りです。
データサイズ(表形式)
- 行数2~10,000行
- 列数1~255列
データ内容(表形式)
- 数値○:処理可
- 文字列欠損値として除く
- 空白欠損値として除く
データベース形式
- 先頭行を変数のラベルとして扱います。
- 2行目以降を各変数の観測値として計算に用います。
- 「標本を識別する変数」を1列含みます。このデータ例では、「グループ」が「標本を識別する変数」です。
- 「標本を識別する変数」に含まれるカテゴリーは2種類である必要があります。
- 「標本を識別する変数」が欠損値となっている行をデータ全体から除いて計算を行います。
- 「検定を行う変数」を1列以上含みます。このデータ例では、「観測値」が「検定を行う変数」です。複数列指定した場合は同時に検定を行うことができます。
- 「検定を行う変数」に欠損値が含まれる場合、列ごとに欠損値を除いて計算を行います。
先頭行のラベルを除いたセル範囲について、行数と列数の上限、扱えるデータの種類は次の通りです。
データサイズ(標本を識別する変数)
- 行数4~20,000行
- 列数1列
データ内容(標本を識別する変数)
- 数値○:処理可
- 文字列○:処理可
- 空白欠損値として除く
データサイズ(検定を行う変数)
- 行数4~20,000行
- 列数1~250列
データ内容(検定を行う変数)
- 数値○:処理可
- 文字列欠損値として除く
- 空白欠損値として除く
出力内容
標本1と標本2に複数の変数を指定した場合、すべての変数の組み合わせについて検定を行います。
基本統計量 | 標本1と標本2の「有効サンプルサイズ」、標本1と標本2を合わせたデータから求めた「平均順位」が出力されます。 |
---|---|
ブルンナー=ムンツェル検定(正規近似) | 統計量Wが近似的に標準正規分布N(0, 1)に従うことを利用して検定を行った結果が出力されます。P値が0.05未満なら"*"、0.01未満なら"**"が出力されます。 |
ブルンナー=ムンツェル検定(小標本) | 補正した自由度を用いてt検定を行った結果が出力されます。P値が0.05未満なら"*"、0.01未満なら"**"が出力されます |
参考文献
- 丹後 俊郎, "新版 医学への統計学", 朝倉書店, 1993.
2標本の比較 その他の手法
- 母平均の差の検定
- 母平均の差の検定(対応あり)
- 等分散性の検定
- 母比率の差の検定
- 母平均の差のメタ分析
- 中央値検定
- マン=ホイットニーのU検定 [Mann-Whitney U Test]
- ブルンナー=ムンツェル検定 [Brunner-Munzel Test]
- 2標本コルモゴロフ=スミルノフ検定 [Two-sample Kolmogorov-Smirnov Test]
- 符号検定
- ウィルコクソンの符号付き順位検定 [Wilcoxon signed-rank Test]
ノンパラメトリック検定 その他の手法
- 中央値検定
- マン=ホイットニーのU検定 [Mann-Whitney U Test]
- ブルンナー=ムンツェル検定 [Brunner-Munzel Test]
- 2標本コルモゴロフ=スミルノフ検定 [Two-sample Kolmogorov-Smirnov Test
- 符号検定
- ウィルコクソンの符号付き順位検定 [Wilcoxon signed-rank Test]
- クラスカル=ウォリス検定と多重比較 [Kruskal-Wallis Test and multiple comparison]
- フリードマン検定 [Friedman Test]
- コクランのQ検定 [Cochran's Q Test]
- ヨンクヒール=タプストラ検定 [Jonckheere-Terpstra Test]