統計学は大きく「記述統計」と「推測統計」に二分され、多くの入門書は「記述統計」だけでなく「推測統計」についても解説しています。「推測統計」は強力な武器ではあるものの、難しい数式が出てくる上、実際に現場で使おうとしても「必要なデータが揃っていない」、「データの件数が足りない」といった理由でうまく活用できないということはよくある話です。

一方、本書が取り上げているのは現場で即使える「記述統計」です。記述統計のエッセンスである集計、代表値、可視化などの各テーマを「まんがパート」、「文章パート」、「Excelパート」の3パートでわかりやすく解説しています。

「まんがパート」は、家電量販店の冴えない営業マンの須田が、経営コンサルタントの蔦島(つたしま)から記述統計の基礎を手取り足取り教わりながら、できる営業マンに成長するまでのサクセスストーリーが描かれています。この「まんがパート」を読むことで、現場ですぐに使える統計は、難しい推測統計や数学理論ではなく、データを集計、可視化し、そこから情報を読み取り、実務に活かす、という一連の作業であることがわかります。

「文章パート」では、まんがパートの補足をしつつ、統計学の歴史から、データ、グラフの種類等、ビジネスマンとして統計を扱う上では最低限知っておくべきレベル、そして統計を知らない人に対してはどや顔できるレベルの知識を学習することができます。

「Excelパート」では、須田がエクセルを使って行ったデータ処理の手順が画面付きで解説されているので、その手順通りに行うことで読者もその日から現場のデータ分析を始めることができます。

以上のように、本書はビジネスに活かせる、即実践できる統計を学ぶことができる入門書となっています。統計を仕事に活かしたい、活かす必要があるという統計初心者のビジネスマンの方は、まず本書を読んでみることをおすすめします。

＜文/松中 宏樹（和から株式会社）＞