ROC曲線 : ROC Curve
概要
ROC曲線とは、検査の性能を2次元のグラフに表したものです。信号ありと信号なし(異常と正常)を区分する点を基準点とし、複数の基準点について感度と特異度を計算します。ROC曲線は縦軸に感度(TPF)、横軸に1-特異度(FPF)をとっています。
感度とは、実際に異常があるケースのうち、検査が正しく「信号あり」と判断したケースの割合のことで、真陽性率ともいいます。一方、特異度とは、異常がないケースのうち、検査が正しく「信号なし」と判断したケースの割合のことで、真陰性率ともいいます。
ROC曲線を作成した時に、グラフの下の部分の面積をAUC(Area Under the Curve)といいます。AUCは0から1までの値をとります。値が1に近いほど判別能が高いことを示します。判別能がランダムであるとき、0.5となります。
分析例ファイルのダウンロード
ROC曲線を使用する際のデータの形式やダイアログの指定方法、出力結果などを以下のExcelファイルからご確認いただけます。ダウンロードしてご参照ください。この分析例ファイルは、製品をご購入された場合にも自動でインストールされます。
なお、エクセル統計の無料体験版では、分析例ファイルのデータを実際に分析してみることができます。
処理対象データ
データベース形式
データサイズ範囲 | 処理対象データ | ||||
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行数 | 列数 | 数値 | 文字列 | 空白 | |
検査データ範囲 | 2~60,000行 | 1~50列 | ○ | 欠 | 欠 |
状態データ範囲 | 2~60,000行 | 1列 | ○※1 | 欠 | 欠 |
※:○…処理可、×…処理不可、欠…欠損値として除く
※1:負の数は使用不可、0/1型のデータであること
出力内容
基本統計 | 検査データごとに状態0と状態1の「サンプルサイズ」、「平均」、「不偏分散」、「標準偏差」、「最小値」、「最大値」 |
---|---|
【グラフ】ROC曲線 | ROC曲線の折れ線グラフ |
ROC曲線下の面積 | 帰無仮説「ROC曲線下の面積 = 0.5」について、検査ごとにカイ二乗検定を行った結果が出力されます。 |
ROC曲線下の面積の比較 | 帰無仮説「検査1のAUC = 検査2のAUC」について、カイ二乗検定を行った結果が出力されます。 |
ROC曲線データ | 検査ごとの各基準点での「FPF(偽陽性率)」、「TPF(真陽性率)」、「オッズ比」 |
左上隅から最も近い点 | 検査ごとのROC曲線において左上隅から最も近い基準点の「FPF」、「TPF」、「オッズ比」 |
斜線から最も離れた点 | 検査ごとのROC曲線において斜線から最も離れた基準点の「FPF」、「TPF」、「オッズ比」 |
参考文献
- 桂川 茂彦, "医用画像情報学", 南山堂, 2002.
- 丹後 俊郎, "新版 メタ・アナリシス入門―エビデンスの統合をめざす統計手法", 朝倉書店, 2016.
- 丹後 俊郎, "臨床検査への統計学", 朝倉書店, 1986.
- 日本放射線技術学会, "ROC解析の基礎と応用", 日本放射線技術学会出版委員会, 1994.
- DeLong ER, DeLong DM, Clarke-Pearson, "Comparing the areas under two or more correlated receiver operating characteristic curves: a nonparametric approach", Biometrics 44, pp.837-845, 1988.