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  • Step1. 基礎編
  • 20. 母平均の区間推定(母分散未知)

20-3. 母平均の信頼区間の求め方(母分散未知)


ある工場では、生産している部品Aを1時間毎にランダムに1つ抜き取り、その重さを検査しています。計10個の部品Aの重さを測定した結果、次のようなデータが得られました。ただし、母分散(すべての部品Aの重さから算出した分散)は分かっていません。また、部品Aの重さは正規分布に従うものとします。このデータから母平均の95%信頼区間を求めてみます。

No. 部品Aの重さ (g)
1 100.2
2 101.5
3 98.0
4 100.1
5 100.9
6 99.6
7 98.6
8 102.1
9 101.4
10 97.9

  1. 標本平均\overline{x}と不偏分散s^{2}を求める
  2. 抽出した標本の平均値は、\overline{x}=100.03となります。また、不偏分散は次の式よりs^{2}=2.22となります。

         \begin{eqnarray*} \displaystyle s^{2}&=&\frac{1}{10-1}\big\{(100.2-100.03)^{2}+(101.5-100.03)^{2}+\cdots+(97.9-100.03)^{2}\big\}\\&=&2.22 \end{eqnarray*}

  3. 統計量tを計算する
  4. 母集団の平均である母平均\mu、不偏分散をs^{2}、抽出したサンプルサイズをnとすると、次の式から統計量tを求められます。

     \displaystyle t=\frac{\overline{x}-\mu}{\sqrt{\frac{s^{2}}{n}}}
  5. 2で算出された統計量tがt分布の95%の面積(=確率)の範囲にあればよい(=両端の2.5%の面積の部分の極端な範囲に入らなければよい)ので、t分布表から上側2.5%点を調べる(自由度はn-1=10-1=9)
  6. α
    v 0.1 0.05 0.025 0.01 0.005
    1 3.078 6.314 12.706 31.821 63.657
    2 1.886 2.920 4.303 6.965 9.925
    3 1.638 2.353 3.182 4.541 5.841
    4 1.533 2.132 2.776 3.747 4.604
    5 1.476 2.015 2.571 3.365 4.032
    6 1.440 1.943 2.447 3.143 3.707
    7 1.415 1.895 2.365 2.998 3.499
    8 1.397 1.860 2.306 2.896 3.355
    9 1.383 1.833 2.262 2.821 3.250
    10 1.372 1.812 2.228 2.764 3.169

    図1

    t分布表において上側2.5%点は「2.262」であることから、統計量tの範囲を次のように書けます。

     \displaystyle -2.262 \leq \frac{\overline{x}-\mu}{\sqrt{\frac{s^{2}}{n}}}  \leq 2.262
  7. 95%信頼区間を求める
  8. 3の式を\muについて変形します。

     \displaystyle \overline{x}-2.262 \times \sqrt{\frac{s^{2}}{n}} \leq \mu  \leq \overline{x}+2.262 \times \sqrt{\frac{s^{2}}{n}}

    この式を用いることで、母分散が分からない時の母平均μの95%信頼区間を求められます。工場の抜き取り検査のデータに当てはめると、

     \displaystyle 100.03-2.262 \times \sqrt{\frac{2.22}{10}} \leq \mu  \leq 100.03+2.262 \times \sqrt{\frac{2.22}{10}}

    となるので、計算すると次のようになります。

     \displaystyle 98.96 \leq \mu \leq 101.10

    【まとめ】母平均の信頼区間(母分散未知)

    母分散が分からない場合、母集団の平均を\mu、標本平均を\overline{x}、不偏分散をs^{2}、抽出したサンプルサイズをn、信頼係数(1-\alpha)(=100(1-\alpha)\%)とすると、次の式から母平均\mu(100(1-\alpha))\%信頼区間を求めることができる。ただし、「t_{\alpha/2}(n-1)」は「自由度が(n-1)」のt分布における上側確率が\displaystyle \frac{\alpha}{2}となる値(t値)を示す。

     \displaystyle \overline{x}-t_{\alpha/2}(n-1) \times \sqrt{\frac{s^{2}}{n}} \leq \mu  \leq \overline{x}+t_{\alpha/2}(n-1) \times \sqrt{\frac{s^{2}}{n}}

20. 母平均の区間推定(母分散未知)

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