- Step1. 基礎編
- 18. 母平均の点推定
18-3. 推定量の性質
母平均の点推定では、標本平均のもつ「母平均がμ(ミュー)である集団から標本を抽出する場合、サンプルサイズ(=標本の大きさ)が大きくなるにつれて、標本平均は母平均μに近づく」という性質を用いました(17-2章 大数の法則より)。このように推定できるのは、母平均の推定量が「一致性」と「不偏性」という2つの性質を満たすためです。
■一致性について
推定量を元に母平均や母分散のような分布のパラメータ(母数)を推測するとき、その推測が正確である必要があります。大数の法則は、サンプルサイズnが大きくなると、標本平均が母平均に近づくというものでした。このように、nが大きくなれば、推定量がだんだんと真のパラメータに近づく性質を「一致性」と言います。
推定量、真のパラメータをθと表記するとき、一致性を式で表すと次のようになります。
![Rendered by QuickLaTeX.com \displaystyle \forall \varepsilon >0,~~n \rightarrow \infty,~~P(|\widehat{\theta}-\theta|> \varepsilon )=0](https://bellcurve.jp/statistics/wp-body/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-4969eb5632ab1fea8aa048a2f6d02d0f_l3.png)
難しい式ですが、これを覚える必要はありません。この式は「nが大きくなれば、推定量は真のパラメータ
に近づく」ということ意味しています。
![図2](https://bellcurve.jp/statistics/wp-body/wp-content/uploads/2016/09/66caf9ce37399f5f2a455838389a18f4.png)
■不偏性について
推定量を元に母平均や母分散のような分布のパラメータ(母数)を推測するとき、その推測が真のパラメータから大きく外れてしまっては意味がありません。言い換えると、推定量の期待値がパラメータに一致する必要があります。この性質を「不偏性」と言います。不偏性を、推定量と真のパラメータ
を用いて表すと次のようになります。
![Rendered by QuickLaTeX.com \displaystyle E(\widehat{\theta})=\theta](https://bellcurve.jp/statistics/wp-body/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-95f18ecd7dc3921b5208c55c9324f775_l3.png)
これは、「nの値に関係なく、の期待値が
であること」を示しています。つまり、nが小さい時にも大きい時にも、推定量の外れ具合が偏っていない(外れ具合が上にも下にも同じである)ことを表しています。
![図1](https://bellcurve.jp/statistics/wp-body/wp-content/uploads/2016/09/5f19f8038b959234c30f03075d8068f4.png)
■標本平均の性質
標本平均は一致推定量であり不偏推定量です。そのため、標本平均の値を母平均の推定量として使うことができるわけです。
18. 母平均の点推定
事前に読むと理解が深まる- 学習内容が難しかった方に -
- 17. 大数の法則と中心極限定理
17-1. 大数の法則1
- 17. 大数の法則と中心極限定理
17-2. 大数の法則2