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  • Step1. 基礎編
  • 10. 条件付き確率とベイズの定理

10-4. ベイズの定理

いくつかの袋の中に赤い玉と白い玉がいくつか入っています。これらの袋のうちどれか1つの袋から、いくつかの玉を取り出したとします。この取り出された玉の色(結果)から、どの袋から取り出されたものか(原因)を推定することを考えます。ここで用いるのが「ベイズの定理」です。

事象Aが起こるという条件のもとで、k種類の事象B \hspace{3mm}(B_1, B_2, \cdots , B_k:ただしこれらは互いに排反とする)が起こるとします。このとき、事象Aが起こるという条件のもとで、事象B_iが起こる条件付き確率P(B_i|A)は次の式から求められます。

 P(B_i |A)=\displaystyle \frac{P(A \cap B_i)}{P(A)} \cdots \textcircled{\small 1}

ここで乗法定理P(A\cap B_i)=P(B_i)\times P(A | B_i)を①に代入します。これがベイズの定理です。

P(A)はP(A)=P(A\cap B_1)+P(A\cap B_2)+ \cdots + P(A\cap B_k)と書けます。これは、次の図のそれぞれの事象B_1, B_2, \cdots , B_kにおける赤い事象Aの部分を足し合わせたものだと考えることができます。この式を②に代入します。

図1

③にも乗法定理P(A\cap B_i)=P(B_i)\times P(A | B_i)を適用すると、次の式が導かれます。

例題:

3つの袋があり、次のように赤い玉と白い玉が入っています。

  • 袋1:赤い玉4つ、白い玉1つ
  • 袋2:赤い玉3つ、白い玉3つ
  • 袋3:赤い玉2つ、白い玉4つ

いずれかの袋から玉を1つ取り出したところ、白い玉でした。この玉が袋2から取り出された確率はいくらでしょうか。

図2

白い玉が取り出されたという事象を事象A、玉を袋1から取り出す事象を事象B_1、袋2から取り出す事象を事象B_2、袋3から取り出す事象を事象B_3をとします。袋は3つあり、これらの袋のどれか1つが選ばれる確率は全て等しいと考えられるので、次のようになります。

 P(B_1)= P(B_2)=P(B_3)= \displaystyle \frac{1}{3}

また、白い玉が取り出される確率は次のようになります。

  • 袋1の場合:P(A|B_1)=\displaystyle \frac{1}{5}

  • 袋2の場合:P(A|B_2)=\displaystyle \frac{3}{6}=\displaystyle \frac{1}{2}

  • 袋3の場合:P(A|B_3)=\displaystyle \frac{4}{6}=\displaystyle \frac{2}{3}

図3

したがってベイズの定理の式に当てはめると、

     \begin{eqnarray*} P(B_2|A) &=&\frac{P(B_2)P(A|B_2)}{P(A)} \\ &=&\frac{P(B_2)P(A|B_2)}{\sum_{i=1}^{3} P(B_{i})P(A|B_{i})} \\ &=&\displaystyle \frac{P(B_2)P(A|B_2)}{P(B_1)P(A|B_1)+P(B_2)P(A|B_2)+P(B_3)P(A|B_3)} \\ &=&\displaystyle \frac{\displaystyle \frac{1}{3} \times \displaystyle \frac{1}{2}}{\displaystyle \frac{1}{3}\times \displaystyle \frac{1}{5}+\displaystyle \frac{1}{3}\times \displaystyle \frac{1}{2}+\displaystyle \frac{1}{3}\times \displaystyle \frac{2}{3}}\\ &=&0.366 \end{eqnarray*}

となり、いずれかの袋から取り出した玉が白い玉だったときに、それが袋2から取り出された確率は0.366となります。

図4

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