- Step2. 中級編
- 2. 確率分布
2-4. 歪度と尖度
3-5. 歪度と尖度で分布の形状を評価する「歪度」と「尖度」について学びました。歪度は分布の歪みの指標であり、分布が左右対称であるかどうかを知ることができます。一方、尖度は裾の重さ(広がり)の指標です。データの分布や裾についての詳細は2-2. ヒストグラムをご覧ください。
■歪度
歪度は「平均値まわりの3次のモーメント」をで割ったものです。確率変数の平均値を、分散をとすると、歪度は次の式から求めることができます。
分布が左右対称の場合、となります。したがって、歪度=0となります。
「右裾が長い」分布の場合、平均より大きく正に離れた値があるためとなります。したがって、歪度は正の値を取ります。
「左裾が長い」分布の場合、平均より大きく負に離れた値があるためとなります。したがって、歪度は負の値を取ります。
分布が左右対称の場合に歪度=0となることを、正規分布を使って確認してみます。正規分布 のモーメント母関数は次のようになります。
ここでは計算を簡単にするため、 の正規分布 を考えます。上の式から、 の正規分布 のモーメント母関数は
となります。この式をtで1回微分をすると
となります。tで2回微分をすると
となります。tで3回微分をすると
となります。この式に を代入すると、次の式が導出されます。
したがって、 の正規分布 の歪度は0になります。
■尖度
尖度は「平均値まわりの4次のモーメント」をで割ったものです。確率変数の平均値を、分散をとすると、尖度は次の式から求めることができます。
尖度は必ず0以上になります。正規分布の場合(最小値)は尖度=3となり、3より大きいかどうかで分布の裾の重さを評価します。そのため、次の式を使って、正規分布の尖度=0を基準とする場合の尖度を計算する場合があります。
「裾が重い」分布の場合、平均より大きく離れた値が多いことから、 はより大きな値を取ります。したがって、正規分布の尖度=3を基準とする場合は尖度はより小さな値を取り、正規分布の尖度=0を基準とする場合は尖度は負の値を取ります。
「裾が軽い」分布の場合、平均より大きく離れた値が少ないことから、 はより小さな値を取ります。したがって、正規分布の尖度=3を基準とする場合は尖度はより大きな値を取り、正規分布の尖度=0を基準とする場合は尖度は正の値を取ります。
正規分布の場合に尖度=3となることを確認してみます。歪度の計算で用いた、 の正規分布 のモーメント母関数をtで4回微分をすると
となります。この式に を代入すると、次の式が導出されます。
となります。したがって、 の正規分布 の尖度は3になります。