- Step2. 中級編
- 2. 確率分布
2-3. チェビシェフの不等式
■チェビシェフの不等式とは?
チェビシェフの不等式とは確率変数が、平均
、分散
の確率分布に従うとき、次の式で与えられる不等式のことです。

ただし、は任意の値を表します。また、チェビシェフの不等式はどのような確率分布の確率変数
においても成り立ちます。
■チェビシェフの不等式の使い方1
、
である確率分布について考えます。この確率分布において
もしくは
となる確率を、チェビシェフの不等式を使って求めてみます。

となる確率を求めればよいことが分かります。ここで、チェビシェフの不等式を用います。

、
であることから

が成り立ちます。これらの式からであることが分かるので、

となります。すなわち、 もしくは
となる確率は
以下であると考えられます。
■チェビシェフの不等式の使い方2
、
である確率分布について考えます。この確率分布において
となる確率を、チェビシェフの不等式を使って求めてみます。

となる確率を求めればよいことが分かります。ここで、チェビシェフの不等式を用います。不等号の向きに注意して、

の式を使います。、
であることから

が成り立ちます。これらの式からを用いて

となります。すなわち、となる確率は
以上であると考えられます。
■チェビシェフの不等式の証明(離散型確率変数の場合)
離散型確率変数の分散は次の式で計算できます。

この式を次のように展開します。
ここで、より
であることから
となります。両辺をで割ると、
となります。
■チェビシェフの不等式の証明(連続型確率変数の場合)
連続型確率変数の分散は次の式で計算できます。

この式を次のように展開します。
ここで、より
であることから
となります。離散型確率変数のときと同様に両辺をで割ると、
となります。