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  • Step1. 基礎編
  • 28. 等分散性の検定とWelchのt検定

28-4. 等分散性の検定

例題:

ある学校の1組と2組の国語のテストの平均点を比較します。1組26人の平均点は60点、不偏分散は20でした。2組31人の平均点は65点、不偏分散は15でした。この結果から、1組と2組の国語のテストの点数の分散は等しいといえるでしょうか。

  1. 仮説を立てる
  2. 帰無仮説H_{0}は「1組と2組の国語のテストの点数の分散は等しい」とします。したがって、対立仮説H_{1}は「1組と2組の国語のテストの点数の分散は等しくない」となります。

  3. 有意水準を設定する
  4. \alpha=0.10とします。

  5. 適切な検定統計量を決める
  6. 等分散性の検定を行うことから、統計量Fを使います。統計量Fは次の式から求めます。s_{1}^{2}は1群目の不偏分散、s_{2}^{2}は2群目の不偏分散を表します。等分散性の検定においてF統計量を算出するときには2つの分散のうち、大きな値の方を分子にします。この例題ではs_{1}^{2}=20(1組)、s_{2}^{2}=15(2組)となります。

     \displaystyle F=\frac{s_{1}^{2}}{s_{2}^{2}}
  7. 棄却ルールを決める
  8. この検定で使用する分布は自由度「(k_{1}, k_{2})=(26-1, 31-1)=(25, 30)」の「F分布」です。2つの分散が等しいかどうかを検定するので、両側検定を行います。このとき、統計数値表を参照する際に用いる\alphaの値は、設定した有意水準である0.1を2で割った値の\alpha=0.05となる事に注意してください。統計数値表からF_{0.05}(25, 30)の値を読み取ると「F_{0.05}(25, 30)=1.878」となっています。また、反対側の値は「F_{0.05}(30, 25)=1.919」の逆数を取って「F_{0.95}(25, 30)=0.521」となります。

    ※確率変数Xが自由度(k_{1}, k_{2})のF分布に従う時、その逆数である \displaystyle \frac{1}{X} は自由度(k_{2}, k_{1})のF分布に従います。したがって、自由度(k_{1}, k_{2})のF分布における上側100\alpha\%点の値が F_{\alpha}(k_{1}, k_{2}) のとき、自由度(k_{2}, k_{1})のF分布における下側100\alpha\%点の値は \displaystyle F_{1-\alpha}(k_{2}, k_{1}) = \frac{1}{F_{\alpha}(k_{1}, k_{2})} として算出できます。

  9. 検定統計量を元に結論を出す
  10.  \displaystyle F=\frac{s_{1}^{2}}{s_{2}^{2}}=\frac{20}{15}=1.33

    次の図は自由度(25, 30)のF分布を表したものです。F=1.33は図の矢印の部分に該当します。矢印は棄却域に入っていないことから、「有意水準10%において、帰無仮説H_{0}は棄却されない」という結果になります。つまり、「1組と2組の国語のテストの点数の分散は等しくないとは言えない」と結論づけられます。

28. 等分散性の検定とWelchのt検定

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