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  • 12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散

練習問題(12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散)

1

1から100までの数字が書いてある100枚のカードの中からランダムに1枚引く。このとき、引いたカードに書いてある数字を確率変数Xとすると、1から100までのXについて確率分布P(X)を考えることができる。

この確率分布P(X)の累積分布関数F(x)について、次の4つの数値がそれぞれどのような事象を表すか答えよ。

  1. F(5)
  2. F(90)
  3. F(50)-F(39)
  4. F(80)-F(74)+F(30)-F(19)

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  1. 5以下のカードを引く確率
  2. 90以下のカードを引く確率
  3. 40~50のカードを引く確率
  4. 20~30または75~80のカードを引く確率

2

3枚の異なるコインを投げるとき、表が出る枚数を確率変数Xとする。このとき、確率変数Xの期待値と分散を求めよ。

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確率変数Xがとり得るそれぞれの値に対応する確率pをまとめると次のようになります。

表が出る枚数 (X)0123
確率 (P(X))\displaystyle \frac{1}{8}\displaystyle \frac{3}{8}\displaystyle \frac{3}{8}\displaystyle \frac{1}{8}

したがって、期待値は次のように計算できます。

     \begin{eqnarray*} E(X)&=&\displaystyle \sum_{i=0}^3 x_i p_i \\ &=& 0 \times \displaystyle \frac{1}{8} +1 \times \displaystyle \frac{3}{8}+2 \times \displaystyle \frac{3}{8}+3 \times \displaystyle \frac{1}{8} \\ &=&\displaystyle \frac{12}{8} =\displaystyle \frac{3}{2}   \end{eqnarray*}

分散は期待値を用いて次の式から求められます。

 V(X)=E(X^2)-\left\{E(X)\right\}^2

E(X)=\displaystyle \frac{3}{2}を使って、まずE(X^2)を求めます。

     \begin{eqnarray*} E(X^2)&=&\displaystyle \sum_{i=0}^3 x_i^2 p_i \\ &=& 0^2 \times \displaystyle \frac{1}{8} + 1^2 \times \displaystyle \frac{3}{8} + 2^2 \times \displaystyle \frac{3}{8} + 3^2 \times \displaystyle \frac{1}{8} \\ &=& 1 \times \displaystyle \frac{3}{8} + 4 \times \displaystyle \frac{3}{8} + 9 \times \displaystyle \frac{1}{8} \\ &=&\displaystyle \frac{24}{8} =3  \end{eqnarray*}

次に\{ E(X) \}^2を求めます。

 \{ E(X) \}^2=\left(\displaystyle \frac{3}{2} \right)^2 = \displaystyle\frac{9}{4}

したがって次のように計算できます。

 V(X)=E(X^2)-\left\{E(X)^\right\}^2=3 - \displaystyle\frac{9}{4} =\displaystyle \frac{3}{4}

3

次のような確率密度関数があるとき、確率変数Xの期待値と分散を求めよ。

     \begin{eqnarray*} f(x)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle \frac{1}{4}x^3 & (0 \leq X \leq 2) \\ 0 & (X < 0 , 2 < X) \\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

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期待値は次のように計算できます。

     \begin{eqnarray*} E(X)&=& \displaystyle \int_{0}^{2} xf(x)dx \\ &=&\displaystyle \int_{0}^{2} x \times \displaystyle \frac{1}{4}x^3 dx \\ &=&\displaystyle \int_{0}^{2} \displaystyle \frac{1}{4}x^4 dx \\ &=&\left[ \displaystyle \frac{x^5}{20} \right]_0^2 \\ &=&\displaystyle \frac{32}{20} = \displaystyle \frac{8}{5} \end{eqnarray*}

分散は期待値を用いて次の式から求められます。

 V(X)=E(X^2)-\left\{E(X)\right\}^2

E(X^2)は次のように求めます。

     \begin{eqnarray*} E(X^2)&=& \displaystyle \int_{0}^{2} x^2f(x)dx \\ &=&\displaystyle \int_{0}^{2} x^2 \times \displaystyle \frac{1}{4}x^3 dx \\ &=&\displaystyle \int_{0}^{2} \displaystyle \frac{1}{4}x^5 dx \\ &=&\left[ \displaystyle \frac{x^6}{24} \right]_0^2 \\ &=&\displaystyle \frac{64}{24} = \displaystyle \frac{8}{3} \end{eqnarray*}

次に\{ E(X) \}^2を求めます。

 \{ E(X) \}^2=\left(\displaystyle \frac{8}{5} \right)^2 = \displaystyle\frac{64}{25}

したがって次のように計算できます。

 V(X)=E(X^2)-\left\{E(X)^\right\}^2=\displaystyle\frac{8}{3} - \displaystyle\frac{64}{25} =\displaystyle \frac{8}{75}

4

1枚のコインを投げるとき、確率変数Xを裏が出たらX=0、表が出たらX=1と対応させる。この確率変数Xが従う確率分布について、累積分布関数F(x)=P(X \leq x)を求めよ。

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Xは0と1しか値をとらず、どちらの場合においてもP(X)=\displaystyle\frac{1}{2}です。 累積分布関数の定義に従って、次のようにF(x)を求めることができます。

 F(x)=\displaystyle\sum_{i:X_i \leq x} P(X_i) \hspace{5mm} (X= \left\{ 0,1 \right\} )
  • X=0について
  •  F(0)=\displaystyle \sum_{i:X_i \leq 0} P(X_i) \\ =P(0)=\displaystyle \frac{1}{2}
  • X=1について
  •  F(1)=\displaystyle\sum_{i:X_i \leq 1} P(X_i) \\ =P(0)+P(1) =\displaystyle \frac{1}{2} +\displaystyle \frac{1}{2}=1

以上の事から、累積分布関数は次のようになります。

     \begin{eqnarray*} F(X)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle 0 & ( X < 0) \\  \vspace{3mm} \displaystyle \frac{1}{2} & (0 \leq X < 1) \\ 1 & (1 \leq X)\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

これをグラフにすると次のようになります。

5

1枚のコインを投げるとき、確率変数Xを裏が出たらX=0、表が出たらX=1と対応させる。 この確率変数Xが従う確率分布について、分散V(X)を求めよ。

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Xは0と1しか値をとらず、どちらの場合においてもP(X)=\displaystyle\frac{1}{2}です。離散型確率分布における分散は次のように求めます。

 V(X)= \displaystyle \displaystyle \sum_{i:X_i \leq 1} (X_i - E(X))^2 \times P(X_i)

難しく見えますが、Xは0か1の二つしかなくP(0)=P(1)=\displaystyle \frac{1}{2}であるので、次のようになります。

 V(X)= (0-E(X))^2 \times \displaystyle \frac{1}{2}+  (1-E(X))^2 \times \displaystyle \frac{1}{2}

期待値E(X)=\displaystyle \frac{1}{2}を用いると、分散V(X)\displaystyle \frac{1}{4}と計算できます。

 V(X)= \left(0-\displaystyle \frac{1}{2} \right)^2 \times \displaystyle \frac{1}{2}+ \left( 1-\displaystyle \frac{1}{2} \right)^2 \times \displaystyle \frac{1}{2} \\ =\displaystyle \frac{1}{4} \times \displaystyle \frac{1}{2} + \displaystyle \frac{1}{4} \times \displaystyle \frac{1}{2} \\ =\displaystyle \frac{1}{4}

分散のもう1つの計算式V(X)=E(X^2)- \left\{ E(X) \right\}^2を用いて分散を計算することもできます。まず、E(X^2)を求めます。

 E(X^2)=\displaystyle \frac{0^2}{2}+ \displaystyle \frac{1^2}{2} = \displaystyle \frac{1}{2}

これを用いて、V(X)を計算します。

 V(X)=\displaystyle \frac{1}{2} -\left( \displaystyle \frac{1}{2} \right)^2=\displaystyle \frac{1}{4}

12. 累積分布関数と確率変数の期待値・分散


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