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積分の使用例

統計を学ぶ際、次のような場合に積分を計算することがあります。 いくつかの関数を例に、実際に計算した例を紹介します。

確率を計算する

例題:次の分布に従う確率変数Xについて、P(0.5 \leq X \leq 2)を求めてみましょう。

     \begin{eqnarray*} f(X)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle 0 & ( X < 0) \\  \vspace{3mm} \displaystyle \frac{1}{8}X & (0 \leq X \leq 4) \\ 0 & (4 < X)\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

f(x)のグラフは次の通りです。

解答例

f(x)を0.5から2まで積分した値が答えです。

 \displaystyle P(0.5 \leq X \leq 2)= \int_{0.5}^{2} f(x) dx = \int_{0.5}^{2} \frac{1}{8}x dx
 \displaystyle = \left[ \frac{1}{16} x^2 \right]_{0.5}^{2} = \frac{2^2}{16} - \frac{0.5^2}{16}
 \displaystyle = \frac{2^2}{16} - \frac{0.5^2}{16} = \frac{15}{64}

期待値を計算する

例題:次の分布に従う確率変数Xについて、E(X)を求めてみましょう。

     \begin{eqnarray*} f(X)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle 0 & ( X < 0) \\  \vspace{3mm} \displaystyle - \frac{3X(X-2)}{4} & (0 \leq X \leq 2) \\ 0 & (2 < X)\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

f(x)のグラフは次の通りです。

解答例

xf(x)を0から2まで積分した値が答えです。

 \displaystyle E(X)= \int_{0}^{2} xf(x) dx = \int_{0}^{2} -x \frac{3x(x-2)}{4} dx
 \displaystyle = -\frac{3}{4}\int_{0}^{2} x^2(x-2) dx = -\frac{3}{4}\int_{0}^{2} x^3-2x^2 dx
 \displaystyle = -\frac{3}{4} \left[ \frac{x^4}{4} - \frac{2x^3}{3} \right]_{0}^{2} = -\frac{3}{4} \left\{ \left( 4- \frac{16}{3} \right) - \left( 0-0 \right) \right\}
 \displaystyle = \left( -\frac{3}{4} \right) \cdot \left( - \frac{4}{3} \right) = 1

分散を計算する

例題:次の分布に従う確率変数Xについて、V(X)を求めてみましょう。

     \begin{eqnarray*} f(X)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle 0 & ( X < 0) \\  \vspace{3mm} \displaystyle - \frac{3X(X-2)}{4} & (0 \leq X \leq 2) \\ 0 & (2 < X)\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

f(x)のグラフは前問と同じで、次の通りです。

解答例

\left( X-E(X) \right)^2 f(x)を0から2まで積分した値が答えです。直前の例題より、E(X)=1とわかっているため、\left( X-1 \right)^2 f(x)を計算すればよいことがわかります。

 \displaystyle V(X)= \int_{0}^{2} \left(x -1 \right)^2 f(x) dx = \int_{0}^{2} (x^2 -2x +1) f(x) dx

このままだと計算しにくいので、少し変形しましょう。

 = \displaystyle \int_{0}^{2} x^2 f(x) dx - \int_{0}^{2} 2x f(x) dx + \int_{0}^{2} f(x) dx = \int_{0}^{2} x^2 f(x) dx -1
 = \displaystyle \int_{0}^{2} -x^2 \frac{3x(x-2)}{4} dx -1 = - \frac{3}{4} \int_{0}^{2} x^4-2x^3 dx -1
 = \displaystyle -\frac{3}{4} \left[ \frac{x^5}{5}- \frac{x^4}{2} \right]_{0}^{2} -1
 = \displaystyle -\frac{3}{4} \left\{ \left( \frac{32}{5} - 8 \right) - \left( 0 -0 \right) \right\} -1
 = \displaystyle -\frac{3}{4} \left( - \frac{8}{5} \right)  -1 = \frac{1}{5}

中央値を計算する

例題:次の分布に従う確率変数Xについて、中央値を求めてみましょう。

     \begin{eqnarray*} f(X)=\left\{ \begin{array}{ll}  \vspace{3mm} \displaystyle 0 & \left( X < 9 \right) \\  \vspace{3mm} \displaystyle \frac{X}{18} - \frac{1}{2} & \left( 9 \leq X \leq 15 \right) \\ 0 & \left( 15 < X \right)\\ \end{array} \right. \end{eqnarray*}

f(x)のグラフは次の通りです。

解答例

f(x)の累積確率F(x) = P(X \leq x)が0.5となる点を求めます。まずは、F(x)を計算します。

 \displaystyle  F(x) = \int_{9}^{x} f(t) dt = \int_{9}^{x} \frac{t}{18} -\frac{1}{2} dt
 \displaystyle  =\left[ \frac{t^2}{36} -\frac{t}{2} \right]_{9}^{x} = \left( \frac{x^2}{36} -\frac{x}{2} \right) -\left( \frac{81}{36} -\frac{9}{2} \right)
 \displaystyle  =  \frac{x^2}{36} -\frac{x}{2} + \frac{9}{4}

F(x)のグラフは次のようになります。

中央値はF(x)=0.5となる点です。グラフ上で図示すると、赤い線とx軸が交わる点です。

上で求めたF(x)を代入すると、次の2次方程式となります。

  \vspace{3mm} \displaystyle  \frac{x^2}{36} -\frac{x}{2} + \frac{9}{4} = \frac{1}{2} \\ \Longleftrightarrow x^2 -18x + 63 = 0 \\  \Longleftrightarrow x = 9 \pm 3\sqrt{2}

解が2つ出てきましたが、Xは9 \leq X \leq 15を満たす必要があります。このことから、9- 3 \sqrt{2}は9より小さいため不適であり、中央値は9+ 3 \sqrt{2}であることがわかります。

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