- Step2. 中級編
- 3. 離散型確率分布
3-4. 多項分布
■多項分布
事象 が起きる確率をそれぞれ
とします。確率変数
が多項分布に従う場合、それぞれの試行が
回起こる確率は次の式から計算できます。
の場合を考えてみます。このとき、
となります。ただし、、
であることから、この式は次のように書き換えられます。
この式は、成功確率が のベルヌーイ試行を
回行うときに成功する回数
が従う確率分布である「二項分布」を表しています。すなわち、
における多項分布の確率分布は二項分布と一致します。
例題:
あるゲームセンターにおいてあるじゃんけんマシーンは、「グー」「チョキ」「パー」がそれぞれ「20%」「30%」「50%」の確率で出ます。グー、チョキ、パーそれぞれが出る回数 が多項分布分布に従うとすると、このじゃんけんマシーンで5回遊んだ場合に「グー」が2回、「チョキ」が2回、「パー」が1回出る確率はいくらでしょうか。
グーが出る事象を 、チョキが出る事象を
、パーが出る事象を
とします。このときそれぞれの事象
が起きる確率とその回数は
となります。したがって、求める確率は
となります。
■期待値の算出
多項分布の期待値を求めます。
ここで、 は多項分布の確率質量関数を表します。したがって、
となります。
■分散の算出
分散を求めるには、を使います。まず多項式における
を求めます。
ここで、 は多項分布の確率質量関数を表します。したがって、
となります。次にを求めます。
![Rendered by QuickLaTeX.com \displaystyle \left\{E[X] \right\}^2 = x^2p^2_i](https://bellcurve.jp/statistics/wp-content/ql-cache/quicklatex.com-be1d0fdbe8ad94d75890f7d109cf31b9_l3.png)
これらを使って分散を求めると、
となります。
■共分散の算出
と
の共分散を求めるには、
を使います。まず多項式における
を求めます。
ここで、 は多項分布の確率質量関数を表します。したがって、
これを使って共分散を求めると、
となります。