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  • Step2. 中級編
  • 1. 2×2のクロス集計表と様々な比率

1-2. 検査精度の信頼区間

2×2のクロス集計表から得られた値に対する信頼区間の求め方は、「母比率の信頼区間の求め方」で学んだ方法と同じです。母比率pの95%信頼区間は次の式から求められます。

 \displaystyle \widehat{p}-1.96 \times \sqrt{\frac{\widehat{p}(1-\widehat{p})}{n}} \leq p \leq \widehat{p} + 1.96 \times \sqrt{\frac{\widehat{p}(1-\widehat{p})}{n}}

この式を見ても分かる通り、サンプルサイズが多いほど95%信頼区間の幅は狭くなります。この式を使って、次のようなデータから「感度」と「特異度」の信頼区間を求めてみます。

罹患している罹患していない
検査陽性(+)953
検査陰性(-)597

■感度:0.95

 \displaystyle 0.95-1.96 \times \sqrt{\frac{0.95(1-0.95)}{100}} \leq sensitivity \leq 0.95 + 1.96 \times \sqrt{\frac{0.95(1-0.95)}{100}}
 \displaystyle 0.907 \leq sensitivity \leq 0.993

■特異度:0.97

 \displaystyle 0.97-1.96 \times \sqrt{\frac{0.97(1-0.97)}{100}} \leq specificity \leq 0.97 + 1.96 \times \sqrt{\frac{0.97(1-0.97)}{100}}
 \displaystyle 0.937 \leq specificity \leq 1.007

上の式は、「サンプルサイズがある程度大きい場合(目安はnp>5、およびn(1-p)>5と言われています)、二項分布B(n,p)は正規分布N(np, np(1-p))に近似できるという定理(ラプラスの定理)」を利用しています。したがって、サンプルサイズが十分に大きくない場合や、標本比率(ここでは感度や特異度)が0や1に近い場合には次の式が用いられる場合があります。nはサンプルサイズ、xはあるイベントの発生回数を表します。

 \displaystyle L \leq p \leq U

ただし信頼区間の下限値は、次の式から

 \displaystyle L = \frac{x}{x+(n-x+1)F_{1-\alpha/2}(2(n-x+1),2x)}

信頼区間の上限値は次の式から求めます。

 \displaystyle U = \frac{(x+1)F_{1-\alpha/2}(2(x+1),2(n-x))}{(n-x)+(x+1)F_{1-\alpha/2}(2(x+1),2(n-x))}

この式は「ClopperとPearsonの正確信頼区間」と呼ばれ、F分布を使って信頼区間を算出します。この式を使って感度と特異度の95%信頼区間を算出すると、次のようになります。

■感度:0.95

n=100、x=95を代入

 \displaystyle 0.887 \leq sensitivity \leq 0.984

■特異度:0.97

n=100、x=97を代入

 \displaystyle 0.915 \leq specificity \leq 0.994

母比率の信頼区間を求める公式は上に挙げた2つ以外にもいくつかの手法があります。エクセル統計には合計5つの手法が搭載されています。

  • Wald法(正規分布)
  • Clopper-Pearsonの正確法(F分布)
  • Wilsonのスコア法
  • Agresti-Coull法(調整Wald法)
  • Jeffreys法
  • また、陽性尤度比と陰性尤度比の95%信頼区間は次の式から算出します。指数関数を使う点がポイントです。

    罹患している罹患していない合計
    検査陽性(+)aba+b
    検査陰性(-)cdc+d
    合計a+cb+da+b+c+d

    ■陽性尤度比:{a/(a+c)}/{b/(b+d)}=感度/{1-特異度}=感度/偽陽性率

     \displaystyle \exp \left[\ln\left(\frac{sensitivity}{1-specificity}\right)\pm 1.96 \sqrt{-\frac{1-sensitivity}{a}+\frac{specificity}{b}} \right]

    ■陰性尤度比:{c/(a+c)}/{d/(b+d)}={1-感度}/特異度=偽陰性率/特異度

     \displaystyle \exp \left[\ln\left(\frac{1-sensitivity}{specificity}\right)\pm 1.96 \sqrt{\frac{sensitivity}{c}+\frac{1-specificity}{d}} \right]

    1. 2×2のクロス集計表と様々な比率


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