トレンドサーチ2008の使用事例:順天堂大学
『わが国のアスベスト研究の分析:文献中のシソーラス用語とタイトル中のフリータームの解析』
青木仕 (順天堂大学大学院医学研究疫学・環境医学)・図書館
青木きよ子 (順天堂大学大学院医療看護学部成人看護学)
掲載誌
順天堂医学 Vol.55, No.4, Page478-486 (2009.12.31)
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抄録より転載
順天堂医学、著者本人の許諾を得て転載しています。
目的:
わが国のアスベスト文献に付与されているシソーラス用語を計量的に調査し,論文タイトル中のフリータームをテキスト・マイニング解析によってアスベスト研究の時系列的な研究動向を明らかにする。
方法:
国内文献は医中誌WEBで検索し,海外文献はPubMedで検索し基礎データとした。テキスト・マイニングは,トレンドサーチ2008(社会情報サービス社)を使用し解析した。
結果:
国内文献は2005年から急増していた。増加の要因は,会議録と解説記事によるものであった。シソーラス用語は,『中皮腫』『胸膜腫瘍』『職業性曝露」『肺腫瘍』など人の健康障害に関連した用語が数多く抽出された。テキスト・マイニング解析では,『悪性胸膜中皮腫』『石綿』『アスベスト』『検診』『中皮腫』が関連キーワードの上位に抽出され,ネットワーク図からは5つの主題分野が識別できた。
結論:
2005年のクボタショックと『石綿障害予防規則』の施行を契機に,アスベスト文献は急増していた。アスベストの有害性と中皮腫との関係が解明されシソーラス用語の『中皮腫』などが増加していた。テキスト・マイニングによるネットワーク図からは近年『悪性胸膜中皮腫』を中心にしたフリーターム間の関係が明らかになった。 (著者抄録)
テキストマイニングによるアスベスト原著文献のタイトル中のフリータームのネットワーク図
フリータームとは:
話言葉など自然そのままの言語。目的の項目を検索するために使用される。
終わりに
文献のタイトル自体をテキストマイニングの対象として解析するこの論文で青木仕氏は学位を取得されました。
医学論文は病名など特殊な用語が多いのですが、トレンドサーチのユーザー辞書を整備することで容易に識別できるようになっています。上記のマッピング画面は余分な枝狩りもされ非常にきれいに分類されています。ただ、コンセプトマッピングの出力画像が解像度が低く、論文に印刷するには加工が必要になるのでこの点を改良してほしい、とのご要望も頂戴しました。今後の課題とさせていただきます。