- Step1. 基礎編
- 31. 実験計画
31-5. 検出力の計算
■例題1:
母分散が の正規分布に従う母集団から標本を抽出し、帰無仮説 、対立仮説 という条件で片側検定を行います。有意水準を5%とするとき、抽出したサンプルサイズが の場合の検出力はそれぞれいくらになるでしょうか。
まず、帰無仮説 が正しいと仮定した場合の棄却点を求めます。
となることから、 の場合は 、 の場合は 、 の場合は となります。
次に、対立仮説 が正しいと仮定した場合に、この棄却点以上の値を取る確率(=検出力)を求めます。標準正規分布に従う確率変数を とします。 の場合、
の場合、
の場合、
となります。すなわち、検出力はそれぞれ の場合は 、 の場合は 、 の場合は となります。
このように、サンプルサイズが大きくなるほど検出力は向上します。したがって、実験計画においてはじめに検出力を設定することで、必要なサンプルサイズを計算することができます。
■例題2:
母分散が の正規分布に従う母集団から標本を抽出し、帰無仮説 、対立仮説 、、 という条件で片側検定を行います。有意水準を5%とするとき、抽出したサンプルサイズが の場合の検出力はそれぞれいくらになるでしょうか。
■例題3:
母分散が の正規分布に従う母集団から標本を抽出し、帰無仮説 、対立仮説 という条件で片側検定を行います。有意水準を10%、5%、1%とするとき、抽出したサンプルサイズが の場合の検出力はそれぞれいくらになるでしょうか。
例題1、2、3の結果をまとめたものが次の表になります。
変化させた条件 | 検出力 |
---|---|
例題1:サンプルサイズ | :、:、: |
例題2:平均値の差 | :、:、: |
例題3:有意水準 | :、:、: |
サンプルサイズが大きいほど、効果量が大きいほど、有意水準が大きいほど検出力が向上します。