- Step0. 初級編
- 9. 研究計画
9-1. 研究の流れを確認しよう
雪がふわふわ舞う12月―――銀世界には目もくれず、教室のストーブの前で丸まる毎日が続きます。冬休みを数週間後に控えたある日、先生が猫たちに冬休みの宿題について説明をはじめました。
「冬休みの間に1つ、"研究"をやってみましょう」
けれども猫たちは研究が何なのかよく分かっていないようです。そこで、冬休みまでの短い時間を使って研究について勉強していくことになりました。
研究の種類について
研究や調査は、次に示すように大きく2つに分けることができます。
- 観察研究
- 実験研究
研究対象に対して介入(薬を飲んでもらったり、治療を受けてもらったりなど)を行わずに、研究対象の観察によってデータを集めて解析を行う研究のこと。例えば、1年生にアンケートを行い、放課後に遊ぶ時間の長さと兄弟構成との関係について調べるといった研究が考えられます。
研究対象に対して何らかの介入(薬を飲んでもらったり、治療を受けてもらったりなど)を行い、その効果を評価する研究のことです。例えば、大人の猫20匹づつを2つのグループに分け、1つのグループにはヒゲが伸びる薬を、もう1つのグループには偽物の薬を飲んでもらい、1ヶ月後にヒゲの長さがどれだけ変化したかを調べるといった研究が考えられます。
先生によると、猫たちがやってみるのは「観察研究」とのことです。
研究の流れについて
- 課題を設定する
- 研究計画を立てる
- 研究対象を誰(何)にするのか:1年生、大人、カリカリなど
- 何をどのように測定するのか:体長、50m走のタイム、カリカリの重さなど
- どのような質問をするのか:兄弟姉妹はいるか、家でどのようなお手伝いをしているかなど
- データを集める
- データを分析する
- 棒グラフ
- 円グラフ
- 帯グラフ
- 折れ線グラフ
- ヒストグラム
- モザイク図
- 箱ひげ図
- 散布図
- レーダーチャート
- バブルチャート
- 結果を考察する
まずはじめに、「どのようなことを調べたいのか」を考えます。身の回りにある疑問や興味のあることなどをリストアップし、大まかな方針を決めます。この段階では、曖昧としたものであったり抽象的なものであっても構いません。
方針が決まったら、より具体的な課題になるように練っていきます。その際、研究や調査を行うことで課題に対して結論が出せるかという点を考えながら課題を具体化していきます。
課題が決まったら、次のことを決める必要があります。
研究計画に従ってデータを集めます。このとき、データの記入ミスや記入漏れのリスクを減らすため、事前にデータ記入シートを作成しておきます。
得られたデータを元に、結果を表やグラフにまとめます。次に示すように、これまで学んだ様々なグラフの中から結果をよく表すことができるグラフを選択します。
2つのグループの比較を行う場合には、それぞれのグループのデータの分布や平均値、中央値を比べる方法があります。また、2つのデータの関係を見たい場合には相関係数を算出する方法があります。
分析結果から、課題に対してどのような判断ができるかを考えます。このとき、「結果から考えられること」と「結果からは分からなかったこと」を明確に切り分け、「分からなかったこと」についてはその理由や問題点などについても考えます。
「では、課題を設定してみましょう」という先生の掛け声とともに、猫たちは早速どんなテーマにしようかと考え始めました。