- Step0. 初級編
- 5. データのばらつき
5-2. 分散と標準偏差の性質を詳しく見てみよう
【お昼は日陰で】気温が高くなるお昼時には、快適な日陰を見つけるのが猫にとっての大事な仕事です。ねこ第1小学校の校区内にはぴったりの場所があります。「駄菓子屋こねこ」の軒下です。お昼寝がてらごろごろできますし、おやつをもぐもぐすることもできます。
次の表は、この「駄菓子屋こねこ」で売られているおやつのうち、人気の高い6種類の値段をまとめたものです。
お菓子の種類 | 値段(円) |
---|---|
にぼしクッキー | 50 |
チーズ煎 | 60 |
ねりかつおぶし | 30 |
ささみだんご | 100 |
海苔チップス | 40 |
お魚ソーセージ | 80 |
この表から平均値と、5-1章で学んだ分散と標準偏差を求めてみます。
平均={50+60+30+100+40+80}÷6=60
分散={(50-60)2+(60-60)2+(30-60)2+(100-60)2+(40-60)2+(80-60)2}÷6=566.7
標準偏差=√566.7=23.8
■データに一律足し算をすると?
夏休みの期間中は店主のサービスにより、小学校に通う猫たちがお菓子を買う場合には1個当たり10円引きになります。この場合の平均値、分散、標準偏差は次のように計算できます。
お菓子の種類 | 値段(円) |
---|---|
にぼしクッキー | 50-10=40 |
チーズ煎 | 60-10=50 |
ねりかつおぶし | 30-10=20 |
ささみだんご | 100-10=90 |
海苔チップス | 40-10=30 |
お魚ソーセージ | 80-10=70 |
平均={40+50+20+90+30+70}÷6=50
分散={(40-50)2+(50-50)2+(20-50)2+(90-50)2+(30-50)2+(70-50)2}÷6=566.7
標準偏差=√566.7=23.8
この結果から、元のデータにある値を一律足した場合、平均値はある値を足したものになります。一方、分散と標準偏差は変化しません。
■データに一律かけ算をすると?
この駄菓子屋では、大人の猫がお菓子を買う場合には1個当たり値段が元の値段の1.2倍になります。この場合の平均値、分散、標準偏差は次のように計算できます。
お菓子の種類 | 値段(円) |
---|---|
にぼしクッキー | 50×1.2=60 |
チーズ煎 | 60×1.2=72 |
ねりかつおぶし | 30×1.2=36 |
ささみだんご | 100×1.2=120 |
海苔チップス | 40×1.2=48 |
お魚ソーセージ | 80×1.2=96 |
平均={60+72+36+120+48+96}÷6=72
分散={(60-72)2+(72-72)2+(36-72)2+(120-72)2+(48-72)2+(96-72)2}÷6=816
標準偏差=√816=28.6
この結果から、元のデータにある値を一律かけた場合、平均値と標準偏差はある値をかけたものになります。一方、分散はある値の2乗をかけたもの(566.7×1.22=816)になります。
ここまでの結果をまとめると、元のデータにある値を一律足したりかけたりした場合の平均値、分散、標準偏差は、元の平均値、分散、標準偏差と比べて次のようになります。
平均値 | 分散 | 標準偏差 | |
---|---|---|---|
-10を足したとき(10引いたとき) | -10を足した値になる | 変化せず | 変化せず |
xを足したとき | xを足した値になる | 変化せず | 変化せず |
1.2をかけたとき | 1.2をかけた値になる | 1.22をかけた値になる | 1.2をかけた値になる |
yをかけたとき | yをかけた値になる | y2をかけた値になる | yをかけた値になる |